初恋の向こう側
ジレンマ
学校が始まり月日が経つにつれてヒロの様子も回復していった。
少しずつだけど、本物の笑顔をみせるようになっていた。
そう簡単に片親をあんな形で亡くした傷が癒えるとは思っていないが、徐々にでもいいから、僅かでもいいから、支えになりたい。
俺は切にそう願い、これからずっとヒロの側でヒロのことを守るって誓ったんだ。
互いの気持ちを確認し合った後、今もヒロとの関係はそう変わってはいない。
ふざけ合いじゃれ合い、時々いがみ合っていた頃に戻っただけ。
『好き』だとは言ったけど、改めて『付き合おう』なんて言葉は口にしていない。
それでもいい。焦ることはない。
ヒロが、ヒロの中のいろんなことを整理できてからでいい。
俺達にはこれからいくらでも時間があるんだ。
そう思っていた。