初恋の向こう側

「ヒロは知らないよ」


今度は視線を窓ガラスの向こうへ運ぶ。


「でも一人で見舞いに行ったりして大丈夫なのか?」

「その事に関しては、逢坂さんも同意見だから大丈夫だよ。ヒロには言わないでおこうって言ってきたのは向こうだから」

「そっか。
やっぱわかったら椎名はショック受けるかな?」

「たぶんね。
ヒロの事だから、自分で自分を責めるんじゃないかって思う。

だから、できればずっと隠しておきたいって思ってる」


大切なヒロ。

その心がこれ以上痛みを負わないように、俺は努めなければいけない。

キミのことを守るって、そう願い決めたことだから。

愛する人のために、誓いは貫かなければいけないんだ。

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