初恋の向こう側
ガックリと肩を落としたヒロにそっと手を伸ばす。
指先からゆっくりと触れていく。
「あたしのせいだ」
「ヒロ」
「あたしが花火買ってきてって。コンビニのじゃダメだって……遠くまで行かせたから」
「違う! あの事故は居眠り運転していた運転手が、」
「でも国道まで走らせなきゃ事故には遭わなかった!」
「ヒロッ !」
細い肩を掴んで揺さぶった。
「でも逢坂さんは助かった。あんな事故に遭って生きていたのは奇跡だって、医者に言われたって本人だって言ってただろ?」
「……梓真はわかってない。
人の命って、人生ってもっと重いんだよ?」
真っ直ぐに俺を見つめるヒロの両目から、涙が溢れた。