初恋の向こう側

……留学 ―――?


一瞬の沈黙の後、オサ達が訊ねる。


「留学って何処へ?」

「どのくらい?」

「また短期って事でしょ?」

「いつ決めたんだよ?」


そして俺が口にしたのは

「…冗談だろ?」

の一言だった。


そんな俺に顔を向け「冗談なんかじゃないよ」と、きっぱりとヒロは言って、意志の強さを感じさせる大きな瞳が真っ直ぐに見つめてきた。


「ロンドンへ行くの。
語学学校へ通いながら向こうの大学へ入るための勉強をするの」

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