初恋の向こう側
「そんなヒロも、たまには素直でいいんじゃないの?」
「それじゃあ、いつもは素直じゃないみたいに聞こえるけど?」
「みたいって自覚ないのかよ」
言い返すとますます唇を突き出したから、迷わずそこへキスをした。
そして、また抱きしめる。
甘いシャンプーの匂いを感じながら目を閉じた。
「留学したら、一発で大学受かるようにちゃんとやれよ? じゃなきゃさ……じゃなきゃ帰ってくるのが遅くなるだろ」
「そんなの梓真に言われなくてもわかってるよ。
梓真だって、あたしがいない間に浮気なんてしたら承知しないからね」
「するわけないだろ。ヒロだって、ブロンド男に声かけられてもついてっちゃダメだからな」
「何言ってんのよ?」
クスッと笑ったヒロの体が腕の中で少し揺れた。
「待ってるから、俺待ってるから……しっかり頑張ってこい」
「うん。ありがと」
「行っておいで……茉紘」
「…行ってきます、梓真」