初恋の向こう側
その調度一週間後、ヒロは旅立った。
『行ってくるね』と笑顔を向けた。
一粒の涙も見せずに、真っ直ぐで強がりなヒロらしく。
展望デッキに立ち、空に浮かんだ飛行機が豆粒ほどになり最後には見えなくなるまで目を凝らし……そして俺は空港を後にした。
家に帰り、部屋に入って机の上に目を向けた。
手に取ったのは小さめの弁当箱。
蓋を開けると、びっちりと詰められた黄色が目に入った。
その一つを摘まんで口の中へ放りこむと、ふんわり柔らかく、優しいダシの味が口いっぱいに広がった。
「『お弁当作ってきたよ』なんて言っといて玉子焼きだけかよ」
一人笑いながら突っ込んで、窓の外に目を向けた。
思いだしたのは三年前の春のこと。
久しぶりに顔を合わせた変わらず生意気なあの日のヒロ。
生意気だけど、眩しい女の子。
眩いくらいキラキラと輝いていて、愛しくて大切な ………。
この想いはずっと変わらない。
何年経っても、この先ずっと ──