初恋の向こう側
梅雨明けはまだだというが、快晴の球技大会。
俺の試合が終わるのを待っていたオサと合流し、体育館を出た。
「暑っちぃー!」
「なぁ、ソフトボール観に行こうぜ?」
近頃のオサは、男子バスケ部のマネージャーに熱を上げている。
お目当てが、ソフトの試合に出てるというわけか……わかりやすい奴。
「あっ アサミ先輩だ ♪」
弾むオサの声。
そのアサミという女がどこにいるかは、訊かなくても大体わかってしまう。
頭と尻が軽そうなのを探せばいい。
相手チームのバッターが打った緩~いフライの下、「ヤッダァ~」なんて鼻にかかった声で反対方向へ走っていったバカ女。
その頭には、ウサギの耳みたいな大きなリボン。
隣を見ると、いかにも微笑ましいってな表情で眺めているオサがいて……俺は顔を歪めた。