初恋の向こう側


ゴトリ。


自販機が吐き出した紙パックの音が、誰もいない廊下に響き渡る。

屈んでコーヒーを取り出し、来た道を戻ろうとした。

その時、声が聞こえてきた。

辺りを見回せば、数メートル先の ”実験室“ と書かれたプレートの下の扉が僅かに開いている。

そこから漏れていると思われる声。

無意識に足音を忍ばせ近づいて、扉の隙間から中をのぞくと……。

大きな机の上に仰向けに横たわる女と、その上に覆い被さるようにしている男が見えた。


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