初恋の向こう側
グラウンドへ戻る途中、たった今目撃してしまった情事のことをオサに話そうか迷っていた。
「おい!」
俺に気づいたオサが手を上げた。
その横には……なんでヒロが座ってる?
迷わずオサの隣に座る俺。
でも、立ち上がり俺の横へ移動してきたヒロ。
しかも、いきなり俺の手から飲みかけのジュースを奪い口をつけた。
しかもしかも、だ。
「なんでコーヒ~?
あたし、フルーツが良かったのに」
なんて勝手なことを言ってるし……。
っていうか俺達って、あの夜からちょっと気まづくなってたんじゃないの?
それに、俺の飲みさしになんで当たり前な感じで口つけちゃってんの?
それもストローだぞ!
……ったく。
「椎名って、意外とオモシロイね?」
俺に向かって言ったオサに、ヒロが言う。
「椎名? なんで呼び捨て?」
「え。
……あっ あー、じゃあ……マヒロちゃん?」
「下の名前で呼ぶなんて気安~い!」
「いやっ ゴメン、なさい……。それじゃあ……椎名、さん…?」
「……まっ それが当然じゃない?」
留めの言葉にオサもタジタジだ。