初恋の向こう側
「そこまでいってたのに、どうしてサッカー辞めちゃったの?」
もういい。
「梓真らしくないよ。何があったの?」
らしくない?
じゃあ、俺らしいって何かわかるのかよ?
「黙ってないで何か言いなさいよ?」
噛みしめていた唇を解き放つと、微かに鉄の味がした。
「梓真?」
放っといてくれ。それ以上踏み込んでくるな ──
……もう、我慢の限界だった。
「あのさ、幼なじみだからって、なんでも話さなきゃいけないのか?
そういうの、いくらヒロだからって、正直ウザいんだよ !!」
初めてヒロが黙った。
長い沈黙を破ったのはオサだった。
「梓真は、ケガしたんだ」