初恋の向こう側
強がり



「それではそこに、名前と住所と連絡先の番号を書いてください」


そう言い残し店長と思われるその人物は、店の奥へ消えた。

年は50代半ばくらい。白髪混じりのロングヘアを後ろで一つに束ねていた。

とはいえ、オッサンである。

でっぷりとした洋ナシのような体系に、ヒッコリー柄のオーバーオールがよく似合っていた。

……こんなとこ、父さんもよく見つけたよなぁ。

駅前の大通りから程近い商店街の路地裏に、その店はあった。

中へ入ると、この店自体が本で作られてるんじゃないかと思うくらい

本、本、本………。

壁際は天井までびっしりと、中央にも背の高い本棚が背中合わせに二列並んでいて。

地震が起きたら大惨事だな、なんて思わせるほどで。

それから一番奥に小さな机と椅子があって、机の上には、山積みの本に埋もれるように古いレジ機が置いてある。


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