初恋の向こう側

「哉子さんは、なんでここでバイトしてるの?」

「どうして、そんなこと聞くの?」

「だって不自然でしょ?」

「不自然?」


と小首を傾げる仕草も、あくまでも自然。計算された仕草なんかじゃない。

そう、絶対に。


「だってこーんな美人な人、こんな店にいちゃおかしいでしょ?」


って顔を覗き込むと……やっぱり赤くなった。


「そうやって佐伯君は、いつも私の事からかうんだからぁー」


なんて頬を膨らますから、やめらんないんだよなぁ~。


「前にバイトしてたお店の常連さんがね、ここを紹介してくれたの。
『もっと君にあう場所がある』って」

「それで、ここ?」

「うん」


なんだよ、それ?

ここより哉子さんに合わないバイト先ってどんなとこだよ。

 
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