初恋の向こう側
* * *
久々に俺の家にオサが来た。
「でさ、聞いてくれよ! 愛莉ちゃんがさぁ~」
さっきからずっと、オサの話は止まらない。
テニス部の真中愛莉に告って、見事にOKの返事をもらったオサ。
デレデレ…デレデレ……。
って、もとから垂れ気味の目尻が下がりっぱなしだ。
告った時の状況に彼女の返事の言葉。
写メにプリクラ……etc etc ──
俺のリアクションの引き出しも、そろそろ底を尽きてきたかも……。
「それでアズマ。一緒に祭りに行かない?」
「祭り?」
「そう。学校始まる前にあるだろ? 花火大会と一緒のやつ」
「そんなの彼女と行けよ」
当たり前の話だ。
「そりゃ、行くよ」
は? 何なんだよ、じゃあ。
「なんでオマエらのデートに、俺がついて行かなきゃいけないんだよ?」
「違うよ。そうじゃなくて!
4人で行こうぜ?」