初恋の向こう側

「祭りは来週の土曜だからな。頼んだぜ!」


帰り際に言い残し、オサは出ていった。

何が『頼んだぜ』だよ。勝手に決めやがって……。


オサが出て行って間もなく、ドアの開く音がした。


「なんだよ。忘れ物かよ?」


振り返らずに尋ねると……


「やっと帰った? お友達のハリネズミチャンは」


答えたのはヒロだ。

突然のヒロの訪問にも、もう慣れっこになってしまっている俺。


「なんだよ。そのハリネズミって?」

「見た目の話よ。
ハリネズミじゃなかったらハリセンボン? それともウニ頭?」


こういう口の悪いとこ直せば、結構可愛い女子高生だったりするのに。


「で、今日はなんだよ?」


………。


返事はなし。

また聞いてないし。


っていうかパンツ見えそうだし。


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