初恋の向こう側
見るんじゃなかった……すっげぇ後悔……。
免許証の裏に潜んでいたのは、コンドームと家の鍵。
しかもその鍵がやけにカラフルなやつで、青地にピンクの水玉って……。
なんだよ、気色悪いなぁー。
「あっ 3時だ。俺!あがりますね」
すると慌てだした中森さん。
「え。そ、そんな佐伯くん! こ、これどうするの!?」
「どうするって、小暮さんが来たら渡してくださいよ。
じゃ、お先に。おつかれさまでしたー」
後ろでまだミノルがごちゃごちゃ言ってたけど、シカトして俺は店を出た。
「あぁー、気分悪ぃ~」
小暮さんの風俗通いにもビックリだが、あのゴムは何処で使うんだよ?
それに、あの乙女チックな鍵は何?
「……」
やめた、やめた。
もうこれ以上、変な想像するのはよそう。
考え過ぎで、あの小暮さんが夢に出てきたら、それこそ簡便だ。
邪気を掃うように頭を振り、裏路地を出ると……大通りへ向かう俺の視界に入ったものがあった。