初恋の向こう側
「佐伯君は、もう帰るの?」
「腹が減ったんで、ラーメンでも食べて帰ろうかと思ってたとこです」
笑って答えると、顎の辺りに細い指を添えて考えこんだ彼女。
それから少し躊躇いがちに、こう言った。
「ねぇ 佐伯くん、あたしも行っていいかな?」
「え?」
「そのぉ…ラーメン屋さん?」
マジ、で……?
それは、思いも寄らぬ展開。
上目遣いの哉子さんが、もう一度尋ねてきた。
「ダメ?」
駄目なわけがない!
そんなわけないっ ない !!
俺のテンションは更に飛躍し、一気に上げ上げモードへ突入した。