初恋の向こう側
なんとか住所を聞き出し、電車に乗れたのは奇跡だと思う。
改札を抜け、千鳥足の彼女を支えながら駅を出て……さて、ここからが問題だよな。
自宅の場所を訊いたところで、今の彼女が答えられるとは思えない。
ナビか地図を引っぱるしかないか……。
ポケットから携帯を取りだし、尋ねた。
「アパートの住所、もいっかい言ってもらえます?」
「………」
「哉子さん?」
「気持ち悪ぅ~い」
「えぇっ!?」
次の瞬間、哉子さんはもの凄い勢いで走りだした。
「ちょ、ちょっと何処行くんですかーっ?」
慌てて後を追いかけた。
コンビニのある角を曲がり、次の十字路を右に入ると住宅街があり。
そこをさらに突き進んで3本目を左に曲がると……古ぼけた二階建てのアパートが建っていた。