初恋の向こう側
…そして ──
ゆっくりと引き剥がすように重なりあった部分を離し、言った。
「佐伯君、エッチしない?」
一度離した唇を、僅か数センチの所まで近づけてくる。
「私と、セックスしよ?」
「………」
哉子さんは、今度は重ねるだけでは物足りないかのように、湿った生温かな物を唇の隙間から滑りこませてきた。
それが口の中で生き物のように動きまわり、更には俺の舌までも捕らえ絡める。
「……んっ ─んぅ…」
彼女の吐息と声に重なる、花火の音。
俺の思考回路はフリーズしてしまったんだろうか?
体内で放出されたアドレナリンが、全身を駆け巡る感覚だけをただ感じていた。