溺愛女神様―青空の瞳―
レイが飛び込んだ部屋は、やはり寝室で、それはそれは大きなベッドが置かれていた
部屋には鍵が設置されており、レイはすかさず、それを閉める
ベッドにドレスを置き、それを眺める
きらきらと輝く白の生地――こんなの絶対自分には似合わない
自分の容姿を全く理解していないレイはドレスを見て心底嫌そうに眉根を寄せた
「はあ…」
ため息を一つついたときレイの耳に外の喧騒が届いた
何があるのだろう、と部屋に備え付けられている大きな窓を覗き込む
「わあ………!」
レイの目が輝きを点した
その視線の先には城の外―――所謂、城下町というものだろうか、とにかく人が多く賑わっている
「なんだろ…お祭りでもあるのかな」
今、立っている場所からはよく分からないが、みんなが浮足たった様子なのはなんとなく分かる
「行ってみようっと!」
そう決心したはいいが、この世界ではドレスが常らしい――レイは自分の格好を見回してみる
朝の格好――学校の制服のままである
やはり、着替えなくてはならないか
レイはドレスを手にとり、慣れない手つきで着替え始めた――が、後ろのファスナーがどうしても締められない
「カ、カナン……」
扉の隙間から顔を出し、カナンに助けを求める
先程自分で着替えられると言ってしまった手前、言い出すのは少々恥ずかしさを伴った
「レイ様、やっと出てきて下さいましたか」
「………あの、ファスナーが…………」
「はい。承知しています」
おそらく、予想ができていたのだろう―――カナンは笑顔で頷いた