溺愛女神様―青空の瞳―
カナンにも手伝って貰い、なんとかドレスを着ることができた
しかし、カナンは更にミュールのようなものを差し出し、履くように促してくる
「そんな高いの無理ですって!」
「ダメです。これが一番合うのですから」
またあの黒い笑顔が迫ってくる――恐い
「そ、そうだ!私、外に行きたいの!だから、そんなヒールの高い履物は………」
「外に、ですか?」
「そう!だってなんだか楽しそうなんだもん」
「そうですね。レイ様が行けば、皆さま喜ぶと思いますよ?」
「どうして?」
「今日は女神の祭典ですから」
「女神の、祭典?」
レイが小首を傾げるとカナンは“あとはエドガー様が教えてくれますよ”と言って、レイの片足を浮かせてミュールを履かせた
「カナン…!?だから無理だって…!!」
「エドガー様がお支度が調いしだい、執務室へお越しになるように…と」
「え!?王様がぁ?」
なんで………
というか、まっすぐ歩けないんだけどぉぉ!!―――と心の中で叫びながらカナンと共に廊下を歩く
その途中、何人かの使用人とすれ違ったが、皆一様にレイの姿に目を奪われた
「カナン……私、やっぱり変なんだよ。みんなこっち見てるもん…………」
小声で前を行くカナンに話しかける