溺愛女神様―青空の瞳―
「エドガー様、そろそろお休みになられませんと明日は…」
歳は二十代くらいだろう男は彼の目の前の書類に目を通している男に対し促すように声をかける
「ああ、わかっている」
エドガーはそう言うと席を立ち、その部屋を出た
自室に向かう途中、後ろについて来る先程の男に話しかける
「アイル、お前は信じるか…?」
突然問われたアイルは何のことか分からず疑問符を浮かべたが、ある答えにたどり着き再び表情を引き締める
「女神伝説、ですか?」
「そうだ」
「まあ、明日その女神を敬う祭典があるくらいですからね」
この国の王ともあろう者が国に伝わる伝説を信じるか、と聞いてきたことに苦笑いに近いものを浮かべながら答える
そんなアイルのことなど気にせず、エドガーは口を開く
「この国に平和と幸福をもたらした女神……その瞳は―――」
窓から見える今は月を浮かべる空に視線をやり、言葉を続ける
全てを包み込む青い空のような色をしているらしい―――