溺愛女神様―青空の瞳―
少しの間、手を振って二人は室内に戻った
「緊張したぁー」
レイは胸を押さえて息を吐き出した
「レイは緊張しすぎだ」
エドガーは笑いながら、頭を撫でる
恥ずかしいなぁ……もう
これじゃ、子供だよ
と、再び息を吐き出した
「そうだ…王様!私、街へ行きたい!!今日は祭なんでしょ?いいよね!?」
キラキラと希望に満ちた瞳で見上げてくるレイにエドガーは苦渋の表情を見せた
そのエドガーの意見を代弁するようにアイルが口を開いた
「それはなりません。いくら平和とは言え、全く危険が無いとは言えません」
「……でも、少しくらいなら」
「あなたが女神ならば尚更、狙われる確率が高くなります。その身は特別故…」
アイルの言葉にレイは目に見える程がっかりした
そんな姿に心が痛むのに堪えられず、エドガーは口を開いた
「……わかった。俺も行こう」
「なっ!?エドガー様!!」
エドガーの言葉はアイルを驚愕させるには十分だった
「あなたが一緒ならば尚更許せるはずがないでしょう!!」
「ヤトを護衛につければいい。お前もついて来るんだろ?それからカナンも」
「それはもちろんです」
「私も…よろしいんですか?」
当然だという表情のアイルに対し、カナンは自分の名が出たことに目を丸くさせた
「ああ。じゃあ、決まりだ」
そんな会話の中、ヤト?誰だろう?―――と首を捻っていたレイの手をとりエドガーは歩き出した