溺愛女神様―青空の瞳―

祭典へ


先程から手を引かれてばかりいるレイは、今度はどこに行くんだろうかと考えを巡らせながらエドガーの背を見る


しかし、しばらく歩いていると靴ずれが気になり始め、なるべく足を浮かせるようにすることに集中するようになった


そんなことばかりに気がとられ、急に立ち止まったエドガーにおもいっきり顔をぶつけてしまうのだった


「ったぁ〜……」

「ん?レイ、どうした?」

レイが鼻を押さえるのにひきかえ、ぶつかられた本人はいたって平気そうである

「いえ、別に……」

と平静を装いつつ、涙目になる

涙目の要因は悪化した靴ずれ――打った鼻も痛いが靴ずれにくらべたらなんてことないように感じる

「エドガー様。どのようなご用件で…?」

アイルともカナンとも違う声が前方から聞こえた

いつの間にか別の部屋――ここもまた広い

広間と言ったところか…



「ヤト、これから街へ行く。お前は護衛についてくれ」

「はあ…。で、その子、誰?」

曖昧な返事をする年若い青年。これまた、レイやカナンと同じくらいだろう

彼は護衛という内容よりもエドガーの後ろから少し見える黒髪の正体のほうが気になったらしい

ヤトは覗き込むようにレイに視線をやった

レイも同じように声の主を見ようと覗き込むように顔を出す

目が合ったヤトは何度か瞬きをした後、目を大きく見開かせてレイを見つめた

「め、めめめ女神ィ!?」

かなり吃りながら、指をさし叫ぶヤトをレイはきょとんとした表情で見る

「ヤト、指をさすな」

のけ反るくらいに身を引くヤトにアイルは冷静に指摘し、腕を下ろさせる




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