溺愛女神様―青空の瞳―
ヤトという護衛もついたところで早速街へ向けてレイが足を踏み出そうとしたときだった
「待て」
エドガーの落ち着いた声に呼び止められた
その声につられてレイは踏み出しかけた足を戻しエドガーを顧みる
「その靴では歩きにくいだろう……?靴ずれもしているようだしな」
「…」
なんでわかったんだろう―――確かに変な歩き方をしていたかもしれないが
「カナン、レイに合う靴を」
「はい」
エドガーの指示にカナンは何処か行ってしまった
「ヤト、レイの怪我を治してやってくれ」
「わかった。……レイ様、いいですか?」
ヤトはこくりと頷きレイの前にかしづくようにしゃがみ込むとレイの足に触れた
「えっと?」
その行動の意図が分からず疑問符を浮かべるがエドガーに支えられて片足を浮される
肩を掴みレイを支えるエドガーを不思議そうに見上げると、彼は笑顔で答えた
「ヤトは騎士であると同時に魔導士なんだ」
「まどうし?」
「魔法を扱う者を魔導士と言うんだ」
「へぇ……」
ホントになんでもありな世界だ。
平凡な世界から一転、ファンタジーな世界を目の前にレイの驚きは留まることを知らない
ヤトへ視線を移すと彼の手から淡い光が放たれている
その光に包まれた足元は暖かく、先程まであった痛みが和らいでいくのがわかる
「レイ様、どうですか?」
「痛く、ない………」
「よかった」
レイの言葉を聞いたヤトは嬉しそうに微笑んだ