溺愛女神様―青空の瞳―
街にて
「これを着て下さい」
街に入る少し前にアイルがそう言って渡してきたものに、疑問符を浮かべつつ広げてみた
それはフードつきのコートだった
「あの?」
「あなたの容姿は目立つ。女神が来たとなれば街の者は余計に集まるでしょう。そうなったとき、あなたを護れるとも限らない……それを防ぐためにもあなたの存在は隠したいのです。無礼を承知ですが、どうか着ていて下さい」
随分と長い説明を受け、さらに頭を下げられては頷かないわけにはいかない
レイは頷いてそれを身に纏った
その折、エドガーがアイルに対して“心配性だな”と苦笑を浮かべた
街に入ったエドガー達の存在に気づいた街の人々は
「エドガーさまだぁ!」
「今年もいらっしゃったのか!」
「エドガー様!うちの店に寄っていってくださいな」
老若男女問わず、彼らは一気にエドガーを取り囲み口々に話しかける
その勢いにレイは思わず、ほけっと口を開いたまま呆然とする
フードを被っていなければ自分もああなっていたのかも知れない――ここの人達にはこの瞳の色には特別な意味があるらしいから
そうこうしているうちに人の波に呑まれ、どんどんとエドガー達から離れていってしまう
「え?ちょっ…!」
近づこうとすればするほど、押し返されてしまう
「きゃっ!?―――あれ?」
体勢が崩れ後ろにこける……とおもいきや衝撃はなく、その変わりに仄かに硬く暖かい何かに支えられている