溺愛女神様―青空の瞳―
眼帯の彼を追いかけたのはいいが、人混みの中で見失うことなく追いつくのは難しく、レイはその背を見失ってしまった
どうしようか――と悩んだ末、たまたま目に留まった店で聞くことにした
「すいません。このあたりに眼帯を着け―――――」
レイの言葉は最後まで紡がれることはなかった
なぜなら、店の中は踊り、笑い、騒ぐ大きな男達で溢れてていたからだ
その光景にレイはあんぐりとし、瞬きを数回繰り返すだけだった
そんなレイに一番に気づいたのが酒瓶を手にしているバルドだった
「なんだぁ〜?そんなフードなんか被りやがって」
「えっと、あの…」
確かにフードを被って店内に入るなんて不審だろう
しかし、男の迫力に戸惑い上手く説明できない
「なんだなんだ?」
「ここは子供が来るとこじゃないぜ〜?」
「怪しいヤツだなぁ」
それを更に不審に思ったのだろうか――ほかの男達までレイを取り囲むように集まってきた
好奇と警戒の空気に呑まれた店内―――それを打ち消したのはヨルの声だった
「店で問題を起こすなよ」
全員がそちらに視線を移す
そのおかげで男たちの陰で見えなかったレイの姿がヨルの目にも映った
「お前――」
「あっ!いた!」
レイは探していた相手を見つけ、思わず指を差して声を弾ませた
ヨルのほうに駆け寄ると先程拾ったブレスレットを彼の手に載せた
「これ、あなたのでしょ?」
ヨルは載せられたものに目を見開いた
「……ああ。落としたのか―――悪かったな…助かった」
「どういたしまして」
今更なのかもしれないが、フードを被ったままというのは相手に失礼だろう―――とレイはフードを取り、にっこりと笑顔を浮かべた