溺愛女神様―青空の瞳―
レイがフードを取った瞬間、ヨルの目が先程よりも大きく見開かれた
「女………神」
放心状態、というヨルにレイの後ろ姿しか見えないバルドたちは疑問符を浮かべた
「あの?大丈夫?」
心配そうに覗き込むレイにヨルは、はっと意識を戻し焦ったような表情を浮かべた
「なんで女神が居るんだ…!?」
その一言に“女神ィィィ!?”とバルドたちの声が一つになり店内に響き渡った
「えっと……レイです」
困ったように笑いながらレイは頭を下げる
それに男達も頭を下げ返す
「ば、バルドです………」
「お、おお俺はガーナーです」
次々と吃りながらその上、敬語で名乗っていく自分より遥かに年配の人間にレイは困惑する
「あの…!私みたいな子供に敬語はやめて下さい。もっと気楽にしていいです!」
「い、いえ女神様に対して軽い口を聞くなんて―――!!」
そう低姿勢になられると逆に困るんだけどなぁ―――と思いながらどうしようか悩む
「こいつがいいって言ってんだ。やめてやれよ敬語―――つーか、オヤジが揃って敬語とか気色悪い」
今まで黙っていたヨルがそう言うとバルドは無い袖を捲るような仕草をして身を乗り出す
「んだとっ!?ヨル!!人に向かって失礼極まりないこと言うんじゃねぇ!!!」
「事実だから仕方ない」
「ああ?」
言い合う二人を煽るように周りの仲間たちは“やれ!やれ!”などと囃し立てている
「生意気に育ちやがって…あのかわいいボウズだった頃が懐かしいぜっ…!」
泣きまねをするバルドにヨルはじとーっと視線を向ける
「よく言うぜ。昔からあんたは俺に生意気ボウズだのくそボウズだの言ってたじゃねぇか」
ヨルの言葉に男たちは一斉に笑い出す
それに吊られるようにレイも吹き出し笑い始める