溺愛女神様―青空の瞳―

それでも泣いているアンナを放っておくことはできない

ヨルにも怪我はどうすることもできないので泣く彼女に苦渋の表情を浮かべている

ヤトが居てくれたら―――と思いながらレイはアンナの目線に合うように屈む

そして―――

「痛いの痛いの飛んでけー!」

怪我に手を当て、昔誰かにしてもらったような古典的な方法で解決を試みた

しかしながらなかなか恥ずかしいものだな――ヨルも呆気に取られ口をぽかんとさせている

「な、なんだ?それは……」

「え…!いや、あはは…」

こんなもの効くわけないと自分でも少し思っていたのだ。ヨルには謎の行動でしかないだろう

だが、笑ってごまかそうとするレイと疑問符を浮かべるヨルの耳には意外な言葉が届いたのだ

「すごーい!!お姉ちゃんがさわったら、なおっちゃったぁ!!」

「え?」

「は……?」


二人はニコニコと笑顔を浮かべるアンナに視線をやるが、彼女の言う通り膝には傷など見当たらない

むしろ、どこにあったかすら分からない


「なんで?」

「………女神の力ってやつか」

「女神の力??」

ヨルの呟きに疑問符を浮かべてその言葉を繰り返す

「自分のことだろ?」

「だって、わた―――」

「お姉ちゃんは女神さまだったんだぁ!!!!」

レイの言葉を遮ってアンナはキラキラとした瞳でレイを見上げる

「えっと…」

アンナの大きな声に道行く人々もレイに注目する

それに戸惑っていると、ヨルはレイの手を引いて、人々のざわめきを背に足早にその場を離れた






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