溺愛女神様―青空の瞳―
伝説通りの青空の瞳は何処までも澄んでいた――それこそ、雲のない空のように
そんな瞳の持ち主が悪い者とは思えなかった
「アイル、カナンを呼べ。女神の世話を頼みたい」
「まだ、身元も明らかになっていないのでしょう…?」
やはりアイルはレイの存在に納得できない
「アイル」
咎めるように名を呼べば、アイルは諦めたようにため息を吐いた
アイルはエドガーとレイを二人だけにすることに抵抗があったが、レイが気絶していることもあり、大人しくカナンという人物を呼びに行ったのだった
彼が部屋を出て行ったことで、室内にはエドガーとレイの二人きりになった
エドガーは自分のベッドに倒れているレイの黒髪を優しく梳く
綺麗な黒髪だ――絡まることなくエドガーの指を通してゆく
そこから覗く透き通るような白い肌―――――視線を辿らせてゆくと紅く色づく唇が目に留まる
触れたい――――
引き寄せられるかのようにエドガーの唇がレイのものに触れた
それと同時にレイは目を覚ました
目の前に紫の瞳の男の顔が視界いっぱいに広がっている
「ちょっ…何しようとしてんですか!?てか、誰なんですか!?ホントに!!」
レイはあまりの近さに目を見開き、慌てて顔を横に向けた
しかし、実際には既にキスされた後で今更顔を逸らしたところで意味はないのだが、そんなことを知らないレイは焦りに焦った
おまけに近くにあるのは整った顔だ
自分の顔に熱が集まるのがよく分かった――その通りにレイの頬は赤かった
そんなレイに彼は可愛いなと思いつつ、仕方ないとばかりに離れる