君を想う
ぎゅ


突然 後ろから朔哉君に


抱き締められた


ドキン ドキン・・・


「さ・・・朔哉君?」


バサ


持っていた教科書とノートが


床に落ちた


「・・・よかった」


え?


よかった?


何が・・・よかったの?


私の頭には「?」が浮かんでいた


「さっきさ 夢見てたんだ


麻美が どっか行っちゃう夢・・・


起きたら目の前に居たから」


抱き締める力が 強くなった


「あの・・・苦しい」


「・・・どこにも行かないで」


ドキン


聞いた事もないような


悲しい声で そう言った


手が・・・勝手に背中に回ってしまう


ダメだよ・・・


抱き締め返しちゃダメ


私は お兄ちゃんを選んだのに・・・


気付けば 朔哉君の背中に


腕を回していた
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