君を想う
「麻美?」


ドキン


振り返ると お兄ちゃんが


立っていた


「あ・・・お兄ちゃん」


「お帰り」


「うん・・・あのね


これ・・・さっき平沢さんって人が来て 


お兄ちゃんに渡して下さいって」


持っていた辞書を お兄ちゃんに


差し出した


「ああ・・・琴夏か」


ズキン


琴夏・・・


呼び捨てなんだ


なんでこんなに傷付くんだろう?


胸が・・・どうして痛くなるの?


「・・・麻美?」


「あ・・・お腹空いちゃった!」


わざと明るく振舞った


これ以上 お兄ちゃんに心配とか


甘えたりとか・・・


しちゃいけない


家の中に入って 靴を脱ぎ


階段を上がった


自分の部屋に向かう


パタン


ストン
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