彼の愛は永遠だから、サヨナラは言わない
ベストカップル発表の時も弘也に抱っこされたままだった。

いい加減下ろしてほしい。


「弘也、重いから下ろして。」


本当にこれ以上無理だから。


「駄目だ、いいからしっかり捕まってろ。」


俺様口調は相変わらずです。


その時会場のライトが落とされ、私と弘也にスポットライトがあたる。


会場からの叫び声とともに、ベストカップルが発表された。


【江南高校の今年のベストカップルは、西條弘也、工藤千比絽カップルで〜す。】


その先の事は全く覚えがない。


弘也がキスしてくれたまでは覚えていたが、あまりの緊張で、そのまま意識を手放したらしい。


大切な時にいつもこうなるんだよね。


何も覚えてないだなんて、もう本当にあり得ない。


私にお姫様は似合わない。


野球することが私の自然の姿なんだと思う。


野球の夢を見ていた。














< 204 / 252 >

この作品をシェア

pagetop