彼の愛は永遠だから、サヨナラは言わない
どうすれば、母さんに私の気持ちが伝わるだろうか。


必死にない頭で考えてみた。


「お父さんの約束なんて守らなくていい。陸斗があの人の意志を継いでくれたから、これ以上自分を傷つけるのは止めて。」


父さんと約束したから、野球を続けてる訳ではない。


本当に野球が好きだから。


どうして、みんなは分かってくれないのだろ。


母さんは私を見ず話を続ける。


「陸斗も千比絽が同じ野球部にいたら、やりにくいと思うわよ。少しは陸斗の気持ちも考えることね。」


母さんが私より陸斗を好きな事は知っているし、喧嘩すると千比絽が悪いといつも叱られた。


母さんに私の思いが伝わる事はないのかも知れない。


ここまで気持ちがすれ違うとは思ってもみなかった。


たとえこのまま、母さんと分り合えなくても、私には野球しかないのだ。













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