彼の愛は永遠だから、サヨナラは言わない
絶対負ける訳にはいかない、理由があった。


恥ずかしいけど、お金の持ち合わせがない。


「西條先輩には絶対に負けません。財布に500円しかないから、絶対勝ちます。」


むきになる私を見て、西條先輩は豪快に笑う。


西條先輩が女子にモテる理由がなんとなく分かった。


西條先輩といると、なんか楽しい。


結局私が負けた。


西條先輩は投げるのも、打つのもかなり上手い。


どうしょう500円しかないから、菓子パンとジュースでいいかな。


バッティングセンターを出ると、西條先輩が私の自転車に股がった。


「今日は俺がご馳走してやるよ。大人しく自転車の後ろに乗れ。」


本当に、いいの。


「西條先輩がご馳走してくれるんですか。」


現金な奴だと言われたが、そんなこと気にしない。


お言葉に甘えさせていただこう。


西條先輩の背中がとても暖かくて、気持ちよくて、なんとなくたけど父さんの背中に似ていた。


だから、思いきりしがみついてしまう。


暖かい。


胸が苦しくなった。































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