彼とカレの青春
「ピンポ~ン!」

上野が、
野宮の家のチャイムを押した。


家の前までは、
もう何度も来たことがあるが、
実際訪問するのは
今回が初、である。


「はい?」

野宮の
母親らしい人物の声が、
応えた。


「同じクラスの上野と申します!
健司君が、学校をお休みしたと伺いまして、
課題のプリントを届けに来ました。」


上野は、
普段使い慣れていない敬語を、一生懸命使用した。


「あらあら、ありがとうね~~!わざわざ!
ちょっと待っててね~~。」

そう、
野宮の母は話してから、
玄関のドアを開け、
上野を家の中へ招き入れた。
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