RED×HEAVEN
男もそれほど脚が速くないらしく、追い付くのは思ったよりもだいぶ簡単だった。



「なぁ〜、どうして俺の事見てくれないんだよぅ〜」



甲高い男の声が、高架下の通路に反響した。



気味が悪い。



男の手は女の腕を掴んでいる。



女はそれを振り払おうと全力で腕を動かしているが、効果は微塵もないようだ。



気が触れている人間の力は異質。



どれだけ抵抗しようが、きっと振り払えない。



「あ、あんた気持ち悪いのよ!!」



女がそう叫ぶと、明らかに男の目の色が変わった。



ヤバい。



マユさんがキレる直前のような感覚でそう思った。



なんだか、マユさんには申し訳ない気がするが。
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