RED×HEAVEN
抱き締めるどころか、指先に触れる事すら出来ない。



地面に立つ事は出来ても愛しい人の頬にさえ触れる事が出来ないこの苦しみが、ルナに対する償いの一つならば、俺はただただ耐えるしかない。



ルナはもう、人を好きになる事は出来ない。



人を愛す事が出来ない。



だから俺はこの苦しみに抗う事は出来ないし、してはいけない。



ルイも俺に触れようとしないのは、触れられない事を無意識に感じ取っていたからなのかもしれない。



触れられない事実に対面するよりは、初めから触れようとしなければいい。



現実をみなくて済むから。



申し訳ない気持ちでいっぱいになった。



そこまで気付いていても、俺はまだお前から離れようとしない。



誰よりも意気地無しの俺でゴメン…
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