RED×HEAVEN
画面の中のルイは俺の声が聞こえてきた方向を捉えようと忙しなく首を動かしている。



「おい、聞こえてんだろ?お前だよ、そこのバカそうな女」



精一杯別人格になりきるのも、ルイの為になるだろうか。



今近くにいる男が、自分を置き去りにした男だと気付かない方が気持ちは楽だろう。



「うるさいっ!聞こえてるわ!ってゆうか、あんた誰なんよ!」



ルイの声…



あれだけ近くで感じていた少し低めの声が、今は遠い。



その声を近くで聞いてはいけない。



再び手に入れようと思ってはいけない。
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