L・O・V・E
千晴
―――数日後
「雨だぁ・・・」
先輩と距離を置いてから、
もう何日経ったんだろう。
矢崎先輩とも、
聖生先輩とも会ってない。
休み時間に、碧と
いることも少なくなった。
「海翔せんぱーい」
「・・・またか」
授業が終わって、
帰ろうと思っていた時だった。
忘れる事の出来ない、
耳障りな声が聞こえた。
「傘無いんすか?
一緒に帰ります?」
「濡れた方がマシ」
「そんなぁ~。
ね、一緒に帰りましょ?」
あれから毎日、
付きまとわれてる。
「・・・勝手にすれば」
「姉貴の命令じゃ、
ないっすからね??」
「はいはい」
もう命令じゃない。
いつもそう言う。
信じるわけじゃ
ないんだけど、
うそついてる
ようには見えない。
「ねぇ先輩、
今度デートしません?」
「は?」
「それが嫌なら、
名前呼んでくださいよ」
・・・そう。
あたしは一度も、
こいつを名前で呼んでない。