L・O・V・E

距離

―――ガチャ



「た、だいまぁ・・・」



もちろん、
返事は帰って来ない。

ちょっとだけ、
寂しかったりする。
習字も今日は、サボる。



「海ちん、みんな
 服びしょ濡れだよ?」

「あ・・・」



聖生先輩、制服・・・。
矢崎先輩は着替えてるけど。



「碧は、あたしの貸すよ。
 えっと、先輩達は・・・」



お兄の貸すわけに、
いかないしなぁ・・・。



「俺ら一回帰るよ。
 傘だけ借りていいか?」

「あ、はい。
 そこの使ってください」



聖生先輩、口開かない。
あたし・・・、何かした?

全然、心当たりないよ・・・。

先輩達は、
ビニール傘を持って家を出た。



「海ちん、服貸して~」

「おっけー。とりま、
 靴下だけ脱いで洗濯機」

「らじゃー」



碧は、何度も泊まりに来てる。
家が息苦しいから、って。

靴下を脱いで、
当たり前のように
洗濯機に入れる碧。

思わず、吹き出した。



「何笑ってんの?」

「んーん。なんかね、
 知り尽くしてるな~って」

「そりゃ、何回も来てるし?」



目は腫れてるけど、
いつも通りの碧だった。

2人で部屋に行って、
適当に服を取り出した。



「碧、ショーパンっしょ?」

「もち♪でもなぁ~、
 海ちん細いから・・・」



あたし入るかな~
なんて言ってる碧。

入らないわけないっつーの。
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