ふたり
あたしは笑顔でそう言って
陸の方を向くと、
小さく悲鳴を上げた。
『わっ・・・』
陸の手の甲から
たらたらと血が流れていた。
反対の右手には、
フランスパンを切る為の
包丁が握られている。
『何してんの?
びっくりするじゃん・・・早くふきなよ』
そういってあたしは
陸にティッシュを差し伸べる。
でも陸は、
滴る赤い雫から目を離さず
じっと自分の手を見ていた。
『・・・?陸ってば!』
『・・・え?!・・・あ』