僕の独り言。
第一章‐チューリップ‐
 


春の暖かさを感じ始めた四月の半ば。

立花誠と立花雅は新しい制服に身を包み、今日から始まる高校生活に向けて準備を進めていた。


「ねー雅、ネクタイ結べた?」

「まだ、てか出来ない。誠やって」

「いやいや俺も出来ないんすよ」


少し色素の抜けた茶髪と切れ長の瞳。

細身ではあるがしっかりと筋肉がついた体は父、端整な顔立ちは母親譲りだ。

無表情に若干焦りの色を浮かべて鏡に向かってネクタイに四苦八苦する姿は、他人が見たら誠と雅の区別はつかいであろう。

二人は一卵性の双子だからだ。


 
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