僕の独り言。
その言葉を待っていたと言わんばかりに二人はそそくさと百合の傍に行く。
「これはね、ここで巻いて、穴に通して、形を整えて…ほら出来た!」
『おー』
いとも簡単に結ばれたネクタイを見て、さっきまでの不満げな顔が少し緩む。
「ほら、誠も来て」
「はーい」
続いて誠のネクタイもパパッと結ぶ。
しっかりと制服に身を包んだ誠と雅は新入生らしい初々しさもあるが、自然と背筋が伸びて大人らしさも感じられる。
百合は一仕事終えたような顔で二人の背中をポンッと押すとニッコリと微笑む。
「さあ!二人ともリビングに行ってあげて。お父さん制服姿が見たい!って待ってるんだからっ」