VS最強王子様!!
消えた気持ち
『那緒side』
「はぁ…」
もうため息しか出ない。
どうしてこんな喧嘩してしまったんだろうと、後になってあたしは後悔してる。
「那緒ーっ!あんた、今まで玲緒と何してたの?」
声を張り上げて叫んでいるのは、あたしの中学からの親友、花園美咲(はなぞのみさき)。
綺麗な名前とは正反対の元気いっぱいな性格。
いつもあたしを気遣ってくれて凄く優しいんだぁ……。
「でも、どうして?どうして知ってるの!?」
「あ、それはねぇ…さっきの授業運動場で体育してたんだぁ。
で、那緒達の姿、丸見えだったの♪」
そうか、運動場から学校の門は丸見えだったっけ。
「ってことは、もしかして颯太くんも見てた?」
「うん。今回の体育、男子と女子一緒にやったから多分、見てると思うよ…」
「さ、最悪だぁぁ…」
鮎川颯太(あゆかわそうた)くんは“王子様”と言う言葉がぴったりの完璧な人。
そして、あたしの好きな人である。
美咲は玲緒にしなよってうるさいけどね。