VS最強王子様!!
消えた気持ち



『那緒side』


「はぁ…」


もうため息しか出ない。


どうしてこんな喧嘩してしまったんだろうと、後になってあたしは後悔してる。


「那緒ーっ!あんた、今まで玲緒と何してたの?」


声を張り上げて叫んでいるのは、あたしの中学からの親友、花園美咲(はなぞのみさき)。


綺麗な名前とは正反対の元気いっぱいな性格。


いつもあたしを気遣ってくれて凄く優しいんだぁ……。


「でも、どうして?どうして知ってるの!?」


「あ、それはねぇ…さっきの授業運動場で体育してたんだぁ。
で、那緒達の姿、丸見えだったの♪」


そうか、運動場から学校の門は丸見えだったっけ。


「ってことは、もしかして颯太くんも見てた?」


「うん。今回の体育、男子と女子一緒にやったから多分、見てると思うよ…」


「さ、最悪だぁぁ…」


鮎川颯太(あゆかわそうた)くんは“王子様”と言う言葉がぴったりの完璧な人。

そして、あたしの好きな人である。


美咲は玲緒にしなよってうるさいけどね。




< 40 / 43 >

この作品をシェア

pagetop