最後のラブレター
『安心して?
 ユキ姉との最後の約束
 あたしちゃんと
 守るから。
 あたしユキ姉が、
 大好きだったよ』




そう言い残し、
あたしは溢れ出そうとする
涙をこらえながら
病室を後にした。




ユキ姉が死んだ。




真っ白な二つの
封筒を残して。




――リオナへ




片方の封筒には
小さく弱々しい字で、
あたしの名前が
書かれていた。




もう一つの封筒には、
何も書かれていない。




ただ
真っ白いだけの封筒。




宛先のない
この封筒が、
少しづつ確実に
あたしの運命を
変えていく事を
あたしはまだ知らない。




この日降り積もった
雪は今年一番の積載量に
なりそうだと、
テレビで誰かが
言っていた。




唯一信頼していた
世界で一番大切な人、
ユキ姉が今日死んだ。




リオナ、18才。




ユキ、20才の冬だった。
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