妖恋華


世間話に花を咲かせる二人。
その中で一つの話題が上がった。

「乙姫ちゃんも気をつけてね?」

「あの【連続神隠し事件】ですか?」

二人の話題に上がったのは最近起こっている【神隠し】についてだった

【連続神隠し事件】

狙われるのは決まって女子高校生くらいの少女という話――。

その中でも消えるのは可愛いかったり綺麗だったりと整ったものばかりの怪事件。

消えてしまった少女たちの手がかかりはなく、まるで物の怪の仕業のような事件だということで【神隠し事件】と世間では言われている。


「大丈夫ですよ!狙われるのはみんな可愛いかったり綺麗だったりする子ばかりですから」

「何言ってるの…乙姫ちゃんは可愛いじゃない」

大袈裟に溜め息を吐きながら言う織姫

確かに少女の容姿は一般のそれと比べればその部類に入るかもしるれない。
しかし、消えた少女たちは特別に美しいのだ。

「大丈夫ですって」

そう…本当に自分には関係ないと思っていたのだ。
だからこうして笑っていられた。

「じゃあ、また明日来ますね!」

時計を見ればもういい時間だった。
明日の学校のためにも今日はもう帰ったほうがいいだろう――。

「こんな遅くに一人で大丈夫?」

外は真っ暗な上、例の事件のこともあり一人で出歩くには危ないだろうと織姫は泊まっていけと提案する。しかし乙姫は『大丈夫』の一言で済まし病室を出た。




そして少女は後に後悔する

―神薙 乙姫

彼女が母と一緒に過ごした時間はこれが最後だった










〇序章・終〇


< 5 / 103 >

この作品をシェア

pagetop