妖恋華



「まず、さっきの生き物について……あれは妖としか言いようがないかな。次にこの村が妖と人との端境にあたる場所だってことは聞いてたよね…?」

先程とは打って変わり、真剣な表情で話し出す虎太郎

話が掴めない乙姫は戸惑いつつ、首肯した

「乙姫ちゃんがいた処を人の世、そして常世と言われる妖たちの世……二つは決して接してはいけない」

華紅夜から聞かされた話を思い出す

「そのためにこの村があるんじゃないの?」

「そう。だからこそ、妖とも関わりが深いこの村ごと人の世――外の世界に関わらせてはいけないんだ」

「でも――!」

だからと言って、そこまで隔離する必要があるのか――

「乙姫ちゃんも被害者だから分かるはずだよ」

言い募ろうとする乙姫の言葉を遮り虎太郎が僅かに厳しい口調で口を挟んだ

「神隠しが起こってる、なんて世間が知れば間違いなく問題になる」

「それなら、もう既に問題になってるよ…!」


連続神隠し事件―――かなり大きく取り上げられている

居なくなった少女たちを捜す呼びかけも毎日と言っていいほどされていた




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