妖恋華
楽しい夕食
「いいにお〜い!」
虎太郎は毛先に滴を撥ねさせながら、台所に足を踏み入れた
「あ、虎太郎くん。もう、できたよ」
「やった!僕、もうお腹ペコペコなんだよね」
「早く食べたいなら早く運べ」
青の言葉に“はーい!”と返事を返しながら、虎太郎は両手いっぱいに料理を載せて運び始めた
その姿を乙姫は微笑ましく、青は呆れて見ていた
「…食べ物のことしか頭にないのか……?」
「可愛くていいじゃない」
「………」
青は乙姫の言葉に驚愕の色を見せ、恐る恐るといった風に口を開いた
「一つ、聞いていいか…?お前は虎太郎を幾つだと思っている……?」
何故、彼がそんな表情をしているのか分からない乙姫は首を傾げた
「え?えーっと、私よりも下な感じがするし……15才くらい?」
「何が15才くらいなの?」
先程の料理を運び終えたのか、虎太郎は二人にずいっと近づき乙姫の言葉の先を促す
突然現れた虎太郎に青は明らかに表情を強張らせた
「虎太郎くんて―――」
「虎太郎、次はそれを運んでくれ」
青は乙姫の言葉を遮り、テーブルの上に用意されたサラダを指した
「はーい」
疑問符は消えていないようだが虎太郎は素直に従い、台所を後にした
それと同時に青は安堵の息を吐き出し、乙姫を見て言った