妖恋華
「いいか…?虎太郎はああ見えて、18才で、俺よりも年上だ」
ああ見えて、という言葉から彼も虎太郎の容姿が幼く見えるということを認めているらしい
「え?えぇ!?ウソっ!?だって……」
どう見ても年上には見えない――容姿も勿論、中身もわんぱくな少年そのものだ
「とにかく、だ。虎太郎は年下に見られることを嫌う……虎太郎を怒らせると面倒だ、絶対にさっきみたいなことは言うな」
虎太郎が怒るところなど想像できないが彼の言葉からは何やら危険なものを感じる
「わ、わかった」
「二人とも遅いよ〜」
乙姫が頷いたのと同時くらいに虎太郎が頬を膨らませて入ってきた
昨日と同じように居間に座り、食事を摂る
「ねぇ、華紅夜さんは?」
「今更だな…」
本当に今更だと思うが――タイミングが掴めなかったのだ
「華紅夜様は今日会合なんだよ」
もぐもぐと口を動かし教えてくれた虎太郎を見て、尚更年上とは思えなかった
「会合?」
「神薙家はこの村の御三家の一つだからね」
「ごっ…!御三、家!?」
村に来たばかりの乙姫が知らないのは当たり前なのだが、あまりに大層な言葉が出てきたため驚いた
その勢いで飲み込もうとしていたものを詰めそうになった
「うん。村の有力な家柄。」
「そ、そうなんだ……」
ここに来てから驚くことばかりだ
それと同時に自分の“神薙”や村について謎が深まる