妖恋華


「…華、紅夜さん」


まただ――自分の身体が強張るのが分かる


「あなたに話しておきたいことがあるの」


一体、自分はどれだけのことを聞かされればいいのだろう

昨日と今日――たった二日間はどんな一年間より濃い気がする


「わかり、ました」


上手くでない声を絞り出して頷く





その部屋に入ったのは昨日ぶり――物静かな和室は乙姫の緊張を煽る

乙姫は瞳に不安を彩らせながらも、昨日と同じ場所に腰を下ろす

下ろしたのと同時に華紅夜が口を開いた

「実は今日の会合で決まったの――」

「何が、ですか……?」

「明日から学校に行ってもらうことになったの」


確かに学校へ行くは了承した――それでも明日は早いと思う

何せ、教科書どころか制服すら手元にはない

「全て摎の頭首が揃えてくれたわ」

乙姫の考えていたことが顔に現れていたのだろうか、華紅夜が答えた

摎の頭首―――乙姫は口の中で反芻した

摎は神薙の血筋を嫁に貰おうとしている

自分にとっては敵………?


そんな考えを打ち消すように華紅夜は言った

「とにかく、明日からは【御伽学園】に行ってもらいます」


拒否などできようか――これはお願いではない決定事項なのだ

乙姫は小さく静かに頷いた




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